端座位の股関節回旋をどう見るか|着座動作における下肢回旋の考え方

1.端座位では股関節は屈曲位になる
端座位では、股関節は屈曲位になります。
では、立位から端座位になる過程で、股関節は屈曲するだけでしょうか。それとも、内旋や外旋を伴うのでしょうか。
臨床では、端座位を股関節屈曲位として捉えることが多くあります。しかし、立位から椅子に座る動作を考えると、股関節だけでなく、膝関節や足部の運動も同時に関与します。
そのため、端座位の下肢アライメントを考えるときには、股関節屈曲だけでなく、下肢全体の回旋関係も整理しておく必要があります。
2.膝関節の運動から考える大腿骨回旋
この問いを考えるうえで、膝関節の運動は重要です。
膝関節には、伸展最終域で生じるスクリューホームムーブメントがあります。開放運動連鎖では、膝関節伸展に伴い脛骨が大腿骨に対して外旋します。
一方、足部が床に接地した条件では、下腿側が自由に回旋するというよりも、大腿骨側の回旋として考える必要があります。
そのため、立位から椅子に座る動作では、足部が床に接地した状態で膝関節が伸展位から屈曲位へ移行するため、膝関節のロールバック機構により大腿骨外旋方向の運動が生じるのではないかと考えることができます。
3.端座位の下肢回旋は膝関節だけでは決まらない
しかし、端座位という最終姿勢で観察される下肢の向きは、膝関節のロールバック機構だけで決まるわけではありません。
足部は床に接地していますが、完全に固定されているわけではありません。
足部の向き、足関節・足部の可動性、下腿の回旋、大腿骨の向き、骨盤の位置によって、端座位の下肢アライメントは変化します。
つまり、端座位で観察される下肢の回旋は、単純な股関節屈曲運動や、膝関節屈伸に伴う大腿骨と下腿の相対回旋だけで説明できるものではありません。
4.下肢回旋は相対関係として観察する
臨床では、つま先の向きだけを見るのではなく、下腿に対する足部の向き、大腿に対する下腿の向き、骨盤に対する大腿骨の向きを分けて観察する必要があります。
端座位における股関節回旋は、外から直接見えるものではありません。
観察できるのは、足部、下腿、大腿、骨盤の位置関係です。
そのため、端座位の下肢アライメントは、股関節だけを取り出して判断するのではなく、それぞれの分節がどのような相対関係にあるのかを整理して捉えることが重要です。
5.端座位は下肢全体の回旋結果として捉える
立位から端座位になる過程では、大腿骨外旋方向の運動を考えることはできますが、端座位の下肢回旋アライメントは、足部・膝関節・股関節・骨盤がそれぞれ影響し合った結果として、端座位の下肢アライメントは形成されると捉える必要があります。
端座位を評価するときには、股関節屈曲位という一面的な見方だけでなく、足部から骨盤までの回旋関係を含めて観察することが重要です。
投稿者
福山真樹

メディカルアナトミーイラストレーター
理学療法士
イラストスタジオ福之画代表
鳥取県理学療法士会 イラスト担当
日本理学療法士会 推薦 公式イラスト担当
京都芸術大学通信教育部イラストレーションコース非常勤講師(美術解剖学・添削採点担当)
解剖学的構造と運動学的関係性を踏まえた図解、疾患理解を助ける病態イラスト、教育・出版向けの専門的な人体イラスト制作を行っています。
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